雑草という名の草は無い。
一つひとつ名前があるのだから。
・・・と記したのは、植物学者の牧野富太郎。
彼自身も、雑草魂の体現者だ。
小学校中退ながら、東京帝大に出入りを許され、
理学博士となった。長い独学の日々。
野山を渡り歩き、未知の植物に名前をつけ、
精密な植物画を描き残した。
そのとき、多くの草たちが名を得た。
その数、1500以上!
地球上に草が登場したのは、約2000万年前。
人類の誕生は、約500万年前。
いわゆる雑草の登場は、ずっとその後の10万年前のこと。
農耕文化の発達とともに、作物ではないものが繁殖して
雑草と呼ばれるようになったといわれている。
その根で、土地を深く耕す。
空気中の窒素を取り込む。
地表を覆って表土の乾燥を防ぐ。
有用微生物の繁殖を助ける。
酸性、アルカリ性を中和する役割も担う。
雑草は地球の元気をつくっているともいえる。
人間は地球の元気を阻害しているというのに。
雑草は、地球の土壌改良にも大きな役割を果たしている。
死んだ土地を生きた土地に変える力がある。
その土地が必要としているからこそ生えてくるのだ。
そう考えると、雑草がいとおしい。いとおしすぎる。