金木犀の甘い香りをかぐと、
なぜか懐かしい気分になるのはなぜ?
香りとともに知る秋の訪れに、
少し切なくなるのはなぜ?
記憶に残る金木犀の香りに、
故郷の父母の姿が重なるのはなぜ?
風に乗ってふんわりと届く香りに誘われて、
振り向くと、そこにある大きな金木犀。
杜の庭園リフレッシュパーク豊浦の入口にも、
金木犀の大木が数本植えられています。
普段はとても地味な常緑樹ですが、
花のシーズンにはがぜん存在感が増します。
入園されるお客さまを祝福するように、
甘いいい香りが漂い、
お客さまの笑顔をいざなうようです。
金木犀は、「三大香木」のひとつに数えられ、
「ジンチョウゲ」と「クチナシ」が名を連ねます。
どれも思い出の庭に植えられていた懐かしい植物たち。
このノスタルジックな感覚の正体は何なのでしょうか。
どうやら香りと記憶には深いつながりがあるようです。
花にまつわる美への感動や幸せな感覚が、
よい記憶を呼び覚ますのでしょう。
成分は「リナロール」などで、強い揮発性があります。
日本人の「懐かしい香り」ベスト3アンケートでは、
①金木犀②畳③シッカロール(ベビーパウダー)だとか。
これらの香りが10歳以下の記憶を思い出させるのです。
過ぎ去りし日々… 幼い頃の風景… 懐かしい人々…
1年に1度繰り返されるそうした思い出の光景が
記憶の定着につながっているのかもしれません。
宝物のような幼年期は歳を重ねるほどに輝いてみえます。
金木犀の花の、太陽ような輝きにも似て…。
金木犀の開花時期は、9月~10月末ごろまで。
気温が高いほど開花時期が遅れるといわれ、
温暖化や木各々の性質で二度咲きするものもあります。
かつて日本では、汲み取り式トイレ対策に金木犀が
植えられていました。その影響でしょうか。
芳香剤にも使用され、トイレを連想する人もいます。
とくに中高年にその傾向が強いそうです。
でも、フレッシュな金木犀の香りは格別。
ストレス解消やリフレッシュ&リラックス効果絶大!
秋が深まるにつれ、月が冴え冴えとしてきます。
中国では月には金木犀の巨木があると信じられていました。
満月の夜に月が明るく輝くのは、
金木犀が満開になったからだとか。
{真昼の満月=金木犀の満開}の光景と出会いに、
どうぞ、杜の庭園リフレにお出かけください。
{宇宙という名の花コスモス}も10月29日(日)までは、
満開は過ぎましたが、名残りの花を楽しんでいただけます。
その後は、翌春の菜の花景観づくりの準備に入ります。
ハロウインのかぼちゃたちの、収穫祭展示も整い、
あああ、秋もどんどん深まっていきますね。
庭園長 国司 淑子(くにし としこ)